想定した医院を開業するため、そして、その医院を維持していくために、
どのくらい初期費用が掛かって、毎月どのくらい費用が掛かるのか、
また、どのくらいの患者さんを見込めるのかの収支のシミュレーションを行います。
初期費用(開業資金)について
開業までにかかる費用がどのくらいで、その費用をどのような形(資金)で賄うのかを考えます。
かかる費用
建物条件、購入する医療機器が大きく占めます。
他に、待合室のソファーや照明などインテリア類、スタッフ採用のための求人費用、スタッフの制服、販促物などを含む広告宣伝費なども考慮する必要があります。
資金
資金は、大きく分けて、「借入金」と「自己資金」があります。
借入金
親族からの補助・支援や、金融機関(日本政策金融公庫、都市銀行、地方銀行など)や制度融資(信金、自治体)からの事業融資を活用します。
金利(固定/変動)、返済期間、借入上限額など各条件を踏まえて借入先を検討します。
借入の際には、必ず、後述する通り「事業計画書」が必要です。
自己資金
自己資金が0や少ないからと言って開業できないわけではありませんが、必要資金の2割程度を用意できれば心強いと言われています。また、自己資金に余裕があると、借入の金利も有利な条件で調達できることがあります。
金利が低い期間が続いているため借入自体はハードルは下がっていますが、ある程度自己資金を用意できると返済が楽になります。
※国や自治体が用意している補助金・助成金などもあります。(返済が不要です)
開業後の収支(運転資金)について
開業してからかかる費用がどのくらいで、その費用をどのような形(資金)で賄うのか、患者数の推移など収入にかかる部分を考えます。
費用
借り入れがあればその返済(金利も)、リース代、雇い入れがあれば人件費、自己所有の物件でなければ家賃、光熱費・水道代などが開業後にかかってくるお金です。
収入
- 患者さんの窓口負担金
- 社会保険収入(診療報酬請求=レセプト)
※ご存知の通り、レセプトの最初の入金は開業の2ヶ月後です。
勤務先の医院からの送患が期待できるのか、開業エリアでの外来がどのくらいなのか、診療圏調査の結果をベースに収入を計算します。
事業計画書について
金融機関から融資を受ける際にも必ず必要となるものですが、
それ以上に、開業後の経営を見据え、損益分岐点、収支分岐点を見出しながら経費計画を立てていき事業の根幹となるものです。厳しめに作ることをお勧めします。
事業計画書には、
- 経営基本計画
- 資金計画・収支計画
- 事業計画書
などを盛り込みます。
詳しく見ていきます。
事業計画
事業計画は、理念が定まった段階(開業予定12ヵ月程度前迄)で、先生が頭のなかに想い描くクリニックのイメージを大まかに文章化しておくことをお勧めします。その際、キャッシュフロー(収入と支出)に関しても、検討・確認することが大切です。
経営基本計画
経営理念(目的)、開業の戦略、開業場所等です。具体的な戦略・目標(経営のコンセプトをはっきりさせ、それを実現するためにどのような診療を行い、どんな専門性を持っていて、この場所で開業したいのは何故か等)を整理して、箇条書きで構わないので、自分の言葉で文章化しておきましょう。
資金計画・収支計画
開業の際の設備投資の額(建物や医療機器等)、資金調達(融資、自己資金等)、開業後の収入と支出(収益と費用)、開業にかかる諸経費(手数料等)」等といった、お金に関する構想と予定を明確にすることです。
事業計画書
一般企業の事業同様に、理念実現のためにクリニック経営を行いますが、先生の概念を再検証し、事業として成立するかを判断するために事業計画書を作成します。
事業計画書は、資金調達(融資)に必要な書類の一つというだけでなく、先生の夢や熱意を示し、開業計画がそのような収支結果を生み出すかを描く、成功へ導くための指南書となります。
また、開業を検討する段階でクリニック見学等をしていただき、弊社と話し合いながら、イメージを具体化し、先生専用の事業計画書を作成することで、開業までの行動や開業後の姿が見えてきます。
事業計画で先生が大まかに文章化したものを、実現させるために私共と話し合いながら作成していきましょう。
つぎに、事業計画書の作成についてみてみます。
事業計画書作成
最終的には先生と一緒に私共がリバランス致しますので、安心して下さい。
診療日数・診療時間
クリニックの医業収入は「患者単価×患者数」であるため、患者さんを多く診療するためには、出来る限り長い時間・出来る限り休みなくクリニックを営業することが重要となります。
1日8時間・1週間に6日と稼働時間・稼働日数が多いほど、医業収入は多くなりますが、プライベートは疎かになってしまいがちです。仕事とプライベートの両立を考慮頂くとともに、診療日数と診療時間をどの程度とするのかを考慮するのは、診療方針を決める際にも重要な条件となります。
シビアな条件設定で検討
医療関係と言っても、クリニック開業は立派な事業となりますし、一般企業と同じで、いつ潰れるか分からない世界です。
開業後の経営を見据え、損益分岐点・収支分岐点を見出しながら経費計画を立てていき事業の根幹となるものですので、診療圏調査から予想される数字よりも収入を少なく、支出を多く見積もり、シビアな条件を設定することが重要です。シビアな条件での事業計画で黒字化出来るようであれば、実際に開業しても資金枯渇する可能性・追加融資を受ける可能性が低く、安心して開業を検討いただけると思います。
ポイントして、開業当初は患者数を少なく、診療報酬単価を低めに、融資は多めに設定します。
また、設備投資や固定費の導入は必要性を検討してから決定し、不要不急の投資は開業後に判断することもポイントです。
開業後の収益懸隔に関する知識を持たず、余裕を持って資金を備えておかないと、一時的にキャッシュフローが悪化した際に、強大なストレスにさらされてしまう可能性があります。
開業すると初月から家賃・光熱費・水道費・人件費・リース代・返済・雑費・その他費用等が掛かりますが、診療報酬が入金されるのは開業約2ヵ月後となりますので、一時的に無収入に近い状況がありますし、開業後数ヵ月赤字が続く可能性もあります。また、先生の個人支出(生活費・子供の学費・予期せぬ出費等)を考慮し、先生の収入を十分に確保することも重要ですので、余裕を持った運転資金を用意する必要があります。
初期投資(土地・建物・テナントに関する費用・内装工事費用・医療機器・備品等)に関しても、ある程度の余裕を持たせた計画が必要です。
最後に、それらをバランスよく行えるかどうかを確認するため、シミュレーションを行います。
収支シミュレーション
先生のライフスタイルをお聞かせいただき、見込み患者数・診療報酬単価、建築・土地費用(テナントの場合家賃)、医療機器費用、人件費等を考慮し、必要な開業資金等も基にした収入予測・資金繰り計画を算出し、各費用の具体的な見積もり・見逃しやすいポイント・将来的な発展までのプランをコンサルタントさせていただくことで、予測と現実のギャップに先生が頭を悩ます可能性を抑えていきたいと思います。
支出は計画から大きく外れることはありませんが、
収入のあてが外れることは、たびたび発生します。
厳しめに設定するか、初めから、計画通りの患者さんが来院してくれないことを想定するなどして、
借り入れには、初期費用だけではなく運転資金も含めるなど、現実的な事業計画を立てることが大切です。
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