開院後は自然に患者が集まると思われがちですが、開業5年以内のクリニック等、そもそも地域で認知されていないクリニックは、自然集患が難しいことがほとんどです。

どれほど有名な病院から独立されたとしても、クリニックを新規に開業し、患者を獲得し、診療圏で揺るぎないポジションを確立して安定した経営を続けていくためには、クリニックの周知に力を入れる必要があり、そのための広報はとても重要です。

一般の企業や店舗では、集客やイメージ戦略のためのPR等を必ず実施しますが、クリニックにおいても、集患につなげることはもちろん、診療方針やクリニックの特徴・院長の想い等を伝えるための広報活動が欠かせません。

また、一般の企業や店舗とは異なり、医療クリニックの広告宣伝には規制が多く、広告を掲示できる媒体が限られているため、一つ一つの広告宣伝効果が一般と比べると弱くなりますので、出来るだけ組み合わせることで効果を高めます。

クリニックの集患が軌道に乗るプロセスは、認知・試行・評価の3段階を経て、患者が継続通院することにあります。

広告宣伝を通じてクリニックが認知されることで、クリニックのお試し受診が可能になり、新患に質の高い診療とサービスをアピールできれば好評価が生まれ、集患につながります。

 

ホームページ

タイミング

何かを認知してから実際にアクションを起こす前に、「検索」という行動が必ずといっていいほど存在します。

患者さんは、「場所+科目」・「駅名+科目」・「市区町村名+科目」・病名(糖尿病や花粉症等)や検査方法(胃カメラや乳がん検診等)、治療法(舌下免疫療法等)といったキーワードでクリニックを探します。また、新聞折込みチラシ・ポスティング・クリニックの看板等で、クリニックの存在を知り、「どんなクリニックだろう?」・「どんな先生なのかな?」・「どんな検査や治療を行えるのだろう?」と、クリニック名を入力してインターネット検索する傾向があります。

つまり上記のようなキーワードで各種検索エンジンの上位にヒットされないと、どんなに綺麗なホームページを作成したとしても十分に増患には寄与しませんし、作成したホームページがクリニック名で検索した際に表示されないと、せっかく認知される機会・受診しようと思う行動を逃がすことにつながります。

検索エンジンにホームページが認識されてからヒットするようになりますが、ホームページが検索エンジンに認識されるまで早くて2~3日、遅くて7日前後かかるため、ホームページを公開してすぐには、検索エンジンの検索窓にクリニック名を入れて検索してもヒットしません。

ですので、開業の5~6ヵ月前から打合せを始め、開業1ヵ月前位にホームページを公開することをお勧めします。

患者さんを集めるホームページ

クリニックホームページは、検索された時に認知を獲得すること、そして興味をもつターゲットにさらに情報を与える、どの年代に対しても重要な広告ツールです。

まずはコンセプトを決めます。

どんな医療を提供するのか、誰をターゲットにするのか等を決め、さらにコンセプトカラーや、雰囲気(優しい感じ、お洒落な感じ等)等を文字にして、コンセプトを作り上げる必要があります。

「ドクター紹介ページ」は、患者さんが来院される前に見られることが多く、コンセプトを伝えるためにもトップページの次に重要なページですから、患者さんに伝えたいことをしっかり記載して下さい。

駅看板・電柱広告ではクリニック名・場所・診療時間・電話番号等で精一杯ですが、ホームページで伝えることが出来る情報量は無限ですので、他の広告ツールに勝ります。

うまくまとめ、わかりやすく、次にどうしてほしいかを、組み込む必要はありますが、クリニックのことを適切に伝えることが可能です。

診療の予約の取り方、診療の流れ、病気に関する詳細情報、対応可能な病気・領域、対応不可能な病気・領域等、出来ること出来ないこと等を掲載しておくと、来院前に不明点を解消しておき来院いただいた際に期待とギャップを埋めておくことが出来たり、想定外の対応が発生することを抑えることが出来ます。

患者さんが検索エンジンでクリニックホームページにたどり着き、受診対象クリニックとして選ばれることが目標ですので、ホームページの内容を充実する事にプラスして、患者さんが来院するきっかけとなる「キーワード」できちんと検索されることも重要です。

また、ホームページは幅広い年代の方が利用されるスマートフォン対応も必須です。

ホームページ運用

完成させて、公開したら、後は放っておいて問題ないのでは?とお考えの先生もいらっしゃいますが、ホームページは出来上がってからが本番であり、運用していくことが集患ツールとしてホームページを活用する秘訣です。

実際に建物があるわけではないですが、ホームページはWEB上に存在するクリニックの分身と考えて、院内の診察の実情と公開情報が一致しているべきなのです。

開業されてからクリニックではいろいろな変化が起こると思いますが、ホームページが分身であるからこそ、最新の情報(新しく始めた治療法、新しく導入した医療機器、年末年始休暇・夏季休暇・学会参加等のための休診日案内等)を提供する必要があります。

変化するのは検索エンジン・WEB上での露出を高めるツール・競合クリニックホームページ・新規開業のクリニック等も同じです。

常に取り巻く環境を見ながら、そうした変化に対応して最適化・改善を行うことで、持続的な集患モデルが形になるということです。

 

ロゴマーク、印刷物(チラシ・パンフレット・診察券デザイン等)、看板

タイミング

開業5ヵ月程度前から業者の選定・デザイン等の検討を行い、2ヵ月程度前には納品、ポスティングは1か月程度前に行うのが理想です。

尚、近隣へのご挨拶は開業2ヵ月程度前から始めることをお勧めします。

選定・検討・発注

クリニック開業前に、クリニックのコンセプトをうまく伝え、デザイン面も吟味し、見栄えのよい印刷物を作成しましょう。

同時に、患者さんに親しんでもらえる、先生の思いを形にするクリニックのロゴマークも作成しましょう。

  • クリニック名
  • 院長名
  • 診療時間
  • 住所
  • 電話番号
  • 地図
  • 休診日
  • 駐車場の案内
  • 診療の案内
  • ホームページのURL等

の情報を、どのようにまとめてどのようにデザインするか等を医療専門の印刷物専門業者に数種類提案してもらい、一緒に検討しながら修正等を重ねて作りこんでいきます。

特にクリニックのロゴマークは、一生使っていくものですから、ご納得いただけるデザイン及び印刷物を作成されることをお勧めします。

尚、医療専門の印刷物専門業者選定に悩まれた場合はご相談下さい。

印刷・発注

印刷物の誤字・脱字の確認、表現の最終修正を行い、デザインが確定した後は紙質を選定し、印刷を発注します。

発注先は、コストとの兼ね合いを見ながら、信頼できる業者にしましょう。

尚、まとめて発注することでコストダウンが可能になります。

出来ればポスティング等も一括で受注してくれる業者が望ましいでしょうが、料金が高くなってしまうこともあるので、ご相談下さい。

広告媒体

求人と同様に広告媒体に何を使うかは費用対効果を検討した上で慎重に選択・発注しましょう。

地域によって差はありますが、

家族・友人・知人からの紹介 > ホームページ・印刷物 > 他の医療機関からの紹介 > タウンページ > 電柱広告

の順番で効果があると思われます。

ご挨拶

開業してからのことを考えると、近隣挨拶は重要です。

地域によって異なりますが、パンフレット等を持参して近隣の影響力の大きい方、近隣の店舗、地域の老人会・PTA・商店会等の代表の方々にご挨拶をしていくことがポイントです。

その一手間で、患者さんの紹介に繋がることが期待できるからです。

また、連携する医療機関、その他の近隣の医療機関、医師会、関係者にも挨拶をしていくことをお勧めします。

 

内覧会

目的・準備

勤務医時代からお世話になっている恩師や先生方、開業をサポートしてくれた関係者・友人・知人等を招き、感謝の気持ちを込めてクリニックをお披露目する…という意味合いもありますが、その最大の目的はクリニックを地域の皆様に認知していただく宣伝効果です。

先生やスタッフにとって内覧会は、初めて地域住民の方々と直接コミュニケーションをとり、医師やスタッフとの交流で人柄を知ってもらったり、クリニック内の雰囲気を感じてもらったりするための貴重な機会ですから、少しでも良い印象を持ってもらう必要があります。

内覧会での印象が患者数の伸びに影響するといっても過言ではありませんので、しっかりと計画・準備(内覧する順序を決めて表示板を設置して効率よく見ていただくこと・内覧場所で説明すること・粗品をお渡しすること等)をして、実施しましょう。

応援に来ていただく関係業者とも事前に打ち合わせを行い、対応していただく内容も決めておきましょう。

内覧会は、そのクリニックが対象としている患者さん様が一番来やすい日の、来やすい時間帯を狙って開催し、よりクリニックの診療方針を理解していただくようにしましょう。

当日

内覧会当日は、入口及びクリニック近辺で、関係業者さんが内覧会開催の告知(チラシを配る等)をしてくれます。

その先の案内は、クリニックスタッフで誘導することになります。

出来れば内覧会に来られる方に一人ずつスタッフがつき、クリニックのご案内を行うと親切ですが、難しい場合は各部署(受付・処置室・トイレ前等)でクリニックスタッフが説明を行い、各医療機器は業者に説明してもらうといったように、空いていればスタッフが説明し、混んでいれば業者の力を借りる流れにするとスムーズです。

院長先生はなるべく診察室に居て、ご挨拶をして下さい。

内覧会にお越しいただいた来院者から、院長やスタッフさんに対して色々と質問があるかと思いますが、今後患者さんになる可能性が高いので、丁寧に対応していただければと思います。

内覧会に足を運んでくださる来院者にも目的(「優しく説明・接してくれるクリニックか」「どんな病気・症状に詳しい先生か」「待ち時間対策はどうか」等)があるので、来院者(今後の患者さん)の思いを感じ取り、一人一人の声に耳を傾ける姿勢を忘れないようにしましょう。

最後に出口で粗品とパンフレット・クリニックカードをお渡しし、お見送りします。

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