開業にまつわる相談や申請は、開業6ヵ月程度前から準備を始めて、望ましい順序で進める必要があります。
開業前の慌ただしい時期にこれらが重なると、意外なミスや手続漏れが発生するケースも少なくありません。
イザとなって慌てることのないよう、開業地が決まった時点でその地域の申請スケジュールを確認しておきましょう。
1.保健所
1-1事前相談(内装業者・弊社)
保健所立ち入り検査時に修正工事指導を受けないために、内装図面が確定した段階から管轄の保健所へ図面を持ち寄り、この内容で進めて良いか事前相談を行います。同時に、クリニック名称に関しても変更依頼のないように事前相談を行います。
1-2開設届(先生又は弊社)
クリニック開業予定地を管轄する保健所に、下記の書類を提出する必要があります。尚、開設届は開設後10日以内に提出しなければなりません。
- 診療所開設届
- 開設管理者の医師免許証の原本と写し
- 開設管理者の履歴書
- 診療所の敷地の平面図
- 付近の案内図
- 建物の構造概要及び平面図
- 従事医師及び看護師等の免許証及び履歴書
- 建物を賃貸している場合は賃貸契約書
1-3その他届出(先生又は弊社)
診療用X線装置備付届、麻薬管理者・施用者免許申請書、結核予防法指定医療機関指定申請書等
2.消防署
2-1事前相談(内装業者・弊社)
内装図面が確定した段階から管轄の消防署へ図面を持ち寄り、この内容で進めて良いか事前相談を行います。
2-2消防講習(先生)
施設の管理者として、事前に消防署が指定する講習会に参加し、防火管理責任者の資格を取得します。
3.医師会
3-1入会届(先生)
医師会への加入を考えている場合は、その医師会に所属している先生にお聞きになるのが一番ですので、近隣のクリニックに直接ご挨拶に伺い、情報を聞いて、医師会へご挨拶に伺いましょう。事務局に入会条件等を確認し、入会申込みを行い、理事会審査等を経て入会手続きを行います。
入会はクリニックの開設届を提出した後になりますが、書類は事前にもらうことができますので、適切な時期に医師会の事務局を訪問する必要があります。
各都県医師会への入会案内
※外部ページに飛びます。
4.厚生局
4-1事前相談(先生又は弊社)
保険医療機関指定申請は、開業した場所を管轄する厚生局に保険医療機関の指定申請を行います。
クリニックにて患者さんが健康保険証を使うことが出来るようにするためには、保険医療機関として指定を受けなければなりませんが、保険医療機関の指定開始日は地域によりまったく異なるので、書類提出の期限がいつになるのかも含めて、管轄の厚生局に必ず事前に確認しましょう。
指定が間に合わないと、患者さんが受診されても健康保険証を使用できず自由診療扱いとなり、全額自己負担となってしまいます。
4-2保険医療機関申請書(先生又は弊社)
保険診療をするためには保険医療機関として指定を受け、指定医療機関コードを取得する必要があります。取得をするためには、下記の書類を揃えた上で、クリニックを管轄する厚生局で保険医療機関指定申請を行います。
- 保険所長に受理された開設届
- クリニックの敷地平面図
- クリニック付近の案内図
- 開設管理者の医師免許証の原本と写し
- 開設管理者の履歴書
4-3医療機関コード番号(郵送)
保険医療機関指定申請書が無事受理されると、後日、医療機関コード番号が入った保険医療機関指定通知書が郵送されますので、レセコンまたは電子カルテに、このコード番号の登録作業が必要です。
5.税務署
5-1届出(先生又は税理士)
① 個人事業の開廃業等届出書
クリニック事業を開始した日から1ヶ月以内の提出が必要です。
② 給与支払事務所等の開設届出書
給与の支払事務を行う事務所等を開設したことを知らせる届け出ですが、クリニック事業を開始した日から1ヶ月以内の提出が必要です。
③ 青色申告承認申請書
青色申告承認申請書の提出期限は、クリニック事業を開始した日から2ヶ月以内です。所定の申請を行うことで、青色申告書による申告が認められますが、青色申告承認申請書を提出することによって、下記のような特典があります。
- 青色事業専従者給与の必要経費算入
- 青色申告特別控除
- 一括評価による貸倒引当金の必要経費算入
- 各種特別税額控除及び減価償却の特例
- 純損失の繰越控除
- 純損失の繰り戻しによる還付
- 棚卸資産の低価法による評価
④ 青色事業専従者給与に関する届出書
青色申告承認申請書を提出した場合、事業に従事している親族に支払う正当な対価は、必要経費として計上できるようになっています。適用を受けるためには、クリニック事業を開始した日から2ヶ月以内に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容、給与の金額、その給与の支給期などを記載した届出書を提出する必要があります。
⑤ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書
提出時期は特に定められていませんが、同時に提出しておくことをお薦めします。給与の支給人員が常時10人未満である場合は、原則としてこの届け出をすることで提出した月の翌月以後に支払う給与等から7月10日・1月10日の年2回にまとめて納付することができるようになります。
6.福祉事務所
6-1届出(弊社)
医療機関が生活保護受給者へ医療等の給付を行う場合は、生活保護法による医療扶助のための医療等を担当する機関として指定を受けるために、下記の必要書類を提出して申請する必要があります。
- 生活保護法指定医療機関指定申請書
- 誓約書
7.労働基準監督署
7-1届出(弊社)
①労災保険指定医療機関指定申請書
労災保険指定医療機関としての指定を受けるためには、クリニック所在地を管轄する労働基準監督署長を経由し、所轄都道府県労働局長に下記の書類を提出して申請する必要があります。
- 労災保険指定医療機関指定申請書
- 施設等概要書
- 開設許可証写し
- 医師免許証写し
- 労災指定病院等登録(変更)報告書
- 知事届出事項に係る届出書の写
- その他労災診療費の算定に際して必要な事項の記載された書類(地方厚生局へ届け出た施設基準に関する受理通知の写し)
- 労働保険関係成立届
- 労働保険概算・確定保険料申告書
- 賃貸の場合は賃貸借契約書の写し
8.公共職業安定所
8-1 雇用保険の手続き(社労士)
雇用保険の手続きには、下記の書類が必要です。
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 雇用保険適用事業所設置届
- 許認可証の写し
- 賃貸の場合は賃貸借契約書の写し
- クリニック事業主の住民票
- 労働基準監督署に提出した保険関係成立届の事業主控
- 賃金台帳
- 労働者名簿
- 出勤簿またはタイムカード
- 雇用契約書
9.社会保険事務所
9-1 社会保険の手続き(社労士)
健康保険及び厚生年金保険に加入する場合、クリニック所在地を管轄する社会保険事務所で下記の書類を提出し手続きを行います。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者届
- 新規適用事業所現況書
- 給与支払事務所等開設届
- 労働者名簿
- 出勤簿またはタイムカード
- 賃金台帳
- 被保険者及び被扶養者の年金手帳
一生に一度のことになるかもしれない、大切な開業のための手続きですから、スケジュールや書類に不備がないか、確認作業を慎重に行っていきましょう。
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